歯茎からの出血があって、不安を感じることがあるかもしれません。たまに少し血が出る程度ならまだしも、毎日の歯磨きで歯茎が出血したり、食事中に時々血が出るといった場合は、心配になるのは当然です。そんな時はどうすればいいのでしょうか。この記事では、歯茎の出血がなぜ起こるのかを説明し、その状態を放置しても大丈夫かどうかを見極める方法を簡潔に紹介します。さらに、出血時の対処法や予防策についても説明するのでぜひ参考にしてください。
目次
歯茎から出血が起こる原因
歯茎の出血の原因は、以下のように大きく分けて4種類あります。
歯茎の傷によるもの
歯茎に傷が付いて一時的に出血するケースです。傷が付く原因として以下の3つが挙げられます。
・硬い食べ物で歯茎が傷ついてしまった
・ナイフやフォークなど鋭利なもので歯茎を刺してしまった
・歯磨きのときに歯茎をこすり過ぎてしまった
歯茎は丈夫な組織ですが、尖っているものが当たれば簡単に切れてしまいます。また、歯磨きの際に、強く磨きすぎてしまうと傷が付き出血の原因になります。
歯周病・歯肉炎
歯茎からの出血の原因として多いのは歯周病です。「歯茎から血が出る」という悩みで歯医者を受診したときに、まず歯科医師が最初に疑うのは歯周病に伴う歯肉炎です。軽度の炎症のときには触れると痛い、歯磨きをすると出血するというくらいで済みます。しかし、強い炎症が起きていると触らなくても痛い、歯磨や食事のときでも出血するという状況になります。
抗凝固剤の服用
静脈血栓塞栓症や急性動脈閉塞で治療をしている人は、抗凝固剤を服用しているのが原因で歯茎の出血が起きることがあります。抗凝固剤が用いられる疾患として以下のような例があります。
・深部静脈血栓症
・肺血栓塞栓症
・心筋梗塞
・脳梗塞
抗凝固剤は疾患の治療や再発の予防によく使われます。この薬を服用している場合、出血が止まりにくくなるため、小さな傷からも普段より多くの血が出ることがあります。このような状況では、主治医に相談して適切な対応を検討することが大切です。
他の疾患
基礎疾患が原因で歯茎の出血が起きるケースも多々あります。出血傾向が強まる疾患の例を以下に挙げました。
・糖尿病
・再生不良性貧血
・血小板減少性紫斑症
・血友病
・白血病
他にも出血傾向が高まる疾患はあります。もし基礎疾患があるなら主治医に歯茎の出血があったことを伝えて、関連性があるかどうかを聞くことが大切です。
歯茎からの出血を放置して大丈夫か判断する基準
歯茎から出血があって驚いたとしても、慌てずに冷静に判断しましょう。もし以下のどれかに該当するなら、速やかに主治医または歯医者の診察を受けることをおすすめします。
・歯茎からの出血が頻繁に起こる
・出血がなかなか止まらない
・複数の場所から出血している
・歯茎が腫れて痛みを伴う
・出血している部分の近くの歯が痛む
・出血のある部分の近くの歯がグラグラする
一時的に傷ついて出血しただけであれば、自然に治癒されるので過度な心配はありません。腫れているときや出血が止まらない・繰り返すときには、できる限り早めに医師に相談しましょう。
歯茎の出血を放置するリスク
歯茎からの出血を放置した場合、自然治癒が難しい状態に陥り、悪化する可能性があります。歯茎の出血を放置することで生じる主なリスクは以下のとおりです。
・出血が続き、不安感を増大させる
・患部で感染症が起こる可能性がある
・歯周病が進行し、症状が悪化する
・基礎疾患の進行により全身の健康状態が悪化する
・歯茎の出血が増え、状態が悪化する
自信を持って「大丈夫」と言える場合を除き、歯茎から出血を確認したら、速やかに歯科医師の診察を受けることが望ましいです。受診することで、今後の対策や予防方法についてのアドバイスを受けることができ、安心につながります。
歯茎からの出血の対策と予防
歯茎からの出血の対策で必要なことは症状によって違います。まずは歯医者で診察・検査を受けて原因を特定しましょう。歯周病などの歯や歯茎の疾患が原因なら、歯医者で治療を進められます。歯周病などの口腔以外の疾患のリスクが疑われる場合には、適切な病院の紹介やアドバイスをしてくれるでしょう。
歯茎の出血を予防するためには、定期的な歯科検診を受けることが重要です。特に歯周病やブラッシングが原因で出血が起きている場合、正しい歯磨きの方法や、その他のセルフケアに関するアドバイスを受けられます。歯磨き方法が誤っていたことが原因で歯茎の出血が起きていることも多いため、適切な指導を受けることが対策・予防の第一歩になります。
まとめ
歯茎が物理的に傷つき一時的に出血する場合は、放っておいても自然に治ることがあります。しかし、歯周病などの疾患が原因で出血している場合は、解決するとは限りません。原因を明確にし、適切な治療を行うためにも、歯科医師の診察を受けることが重要です。歯茎からの出血で不安を感じた際には、歯医者に相談することをおすすめします。