歯が割れることは誰にでも起こりうるトラブルで、その原因はさまざまです。突然の痛みや違和感に驚き、どう対処すれば良いのか戸惑うこともあるでしょう。本記事では、歯が割れる原因とその対処法について詳しく解説します。
目次
歯が割れたら起きること
歯が割れると、さまざまな問題が発生します。以下に詳しく解説します。
痛みや違和感が出る
神経がある歯が割れると、初期症状として冷たいものや甘いものを摂取した際に歯がしみることがあります。また、食事の際に噛むとズキッと鋭い痛みが走ることもあります。例えば、氷を噛んだり、冷たい飲み物を飲んだときに強い痛みを感じることが考えられます。このような痛みや違和感は、歯の割れ目から刺激が直接神経に伝わるためです。
ズキズキとした痛みに悩まされることもある
症状が進行すると、何もしなくてもズキズキとした痛みが続くことがあります。これは、虫歯などで神経が炎症を起こしている状態に似ています。寝ている間や仕事中など、安静にしているときでも持続的な痛みを感じることが多くなります。この痛みは非常に強く、日常生活に大きな支障をきたします。
歯肉の腫れや膿が出る
神経がない歯が割れた場合、破折部から細菌が入り込むことで、歯肉が腫れたり、歯肉から膿が出たりすることがあります。膿が出ることで口臭が強くなるほか、噛むと違和感が生じて食事を楽しめなくなることにもなりかねません。
歯が割れる原因
歯が割れる原因はさまざまですが、大きく分けて以下のような要因があります。
歯根の強度低下
神経を取って長期間経過している歯や、残っている歯の厚みが薄い歯、感染している脆弱な歯は、特に歯根破折のリスクが高くなります。例えば、根管治療を受けた後に数年経過した歯は、内部が乾燥して脆くなるため、割れやすくなります。このような歯は、何気ない日常の噛み合わせや軽い衝撃でも破折することがあります。
過度な力
歯ぎしりや食いしばり、ガムや硬いものを噛む習慣があると、歯に過度な力がかかり、割れるリスクが高まります。また、ブリッジや入れ歯の支えとなっている歯も負担が大きく、割れやすくなります。さらに、転倒や事故などによる外傷も歯を破折させる原因です。例えば、スポーツ中に転倒して強い衝撃を受けた場合、歯が割れることがあります。
不良な修復物や根管治療
適合不良なポストコア(土台)や詰め物、過度な応力がかかる根管治療は、歯が割れる原因となります。例えば、適切にフィットしていない詰め物があると、その部分に過剰な力がかかり、歯が割れるリスクが高まります。
歯根と骨の癒着(ゆちゃく)
神経を取って長期間経過している歯では、歯根と骨が癒着することがあります。この現象が起こると、噛み合わせの力が均等に分散されず、特定の部分に集中してしまい、歯が割れる原因となります。
緊密なかみ合わせ
奥歯のかみ合わせが上下で緊密に噛み合っている咬合状態は、特に歯冠破折のリスクを高めます。例えば、歯ぎしりの癖がある人は、奥歯に過度な力がかかり、歯の冠部分が割れることがあります。
割れた歯の治療法
歯が割れた場合、その状態や破折の程度に応じて適切な治療法が選択されます。以下に、具体的な治療法を紹介します。
口腔内接着法
口腔内接着法は、破折の状態が比較的小さい場合に行われます。口腔内で歯根の接着処理を行うもので、抜歯は必要ありません。大きな利点は、抜歯やその後の固定が不要なため、身体への負担が軽減されることです。また、比較的短時間で処置が完了するため、生活に与える影響も少なくて済みます。
口腔外接着再植法
より重度の歯根破折の場合には、口腔外接着再植法が適用されます。一度歯を抜歯し、特殊な接着剤を用いて破折部分を修復してから再植します。例えば、歯根が深く割れている場合でも、抜歯することで炎症部分を確実に除去し、口腔外で丁寧に接着処理を行うことができます。
再植後に1ヶ月程度固定する必要がありますが、口腔内接着法よりも予後が良いとされています。また、抜歯することで感染リスクを減らし、治療効果を高めることが可能です。
抜歯
歯根が破折し、保存治療が困難な場合、抜歯が必要となります。抜歯が必要であるのに放置すると、歯を支える骨が喪失する恐れがあります。そのため、抜歯が必要と判断された場合はなるべく早めに抜歯を行いましょう。抜歯した後は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどで歯の機能を補うことが大切です。
歯が割れたら早めに歯科医院を受診しよう
歯が割れた場合、早期の治療が重要です。放置すると痛みや不快感が増すだけでなく、さらに深刻な問題を引き起こす可能性があります。歯科医院では、割れた歯の状態に応じた最適な治療法を提案し、迅速に対応してくれます。少しでも歯が割れているのを見つけたら、早めに歯科医院を受診しましょう。