コラム

歯の寿命は何年?健康的な歯を維持するために重要なこと

私たちが健康的な生活を維持する上で、強く健康な歯を保つことは重要なことです。しかし、生き物の命に限りがあるように、歯にも寿命が存在します。これは、歯が髪や爪のように絶えず成長する組織ではないためです。では、歯の寿命は平均でどれほどなのでしょうか。この記事では、日本における歯の寿命についての現状や、歯の寿命を延ばすために覚えておくべき重要なポイントについて説明します。

歯の寿命はどのくらい?

歯の寿命は平均的に50年~66年くらいといわれています。厚生労働省の平成11年歯科疾患実態調査で、日本人男女の歯の種類別の調査が過去3回にわたって実施されました。この調査で、歯の寿命がどのように推移してきたかもわかります。以下に詳しくみていきましょう。

参考記事:https://www.mhlw.go.jp/topics/0105/tp0524-1.html

歯の種類と寿命の違い

歯の寿命は種類によって最大で16年くらいの違いがあります。同調査によると歯の平均寿命が長い箇所は、男性でも女性でも下顎犬歯(かがくけんし)でした。男性の場合には左右で差がありませんでした(66.7年)が、女性の場合には右側(66.2年)の方が左側(65.8年)よりもやや寿命が長いという結果になっています。

歯の平均寿命が最も短いのは、下顎第二大臼歯(かがくだいにだいきゅうし)でした。左側で男性では50.0年、女性では49.4年です。右側の方が歯の平均寿命が長くなっていますが、0.5年~1.0年程度の違いです。

歯の寿命の推移

日本における歯の寿命は延びてきています。厚生労働省の同調査によると性別を問わずに歯の寿命が長くなってきたことが示されています。以下に寿命が長い下顎犬歯と、寿命が短い下顎第二大臼歯についての変化をまとめました。

下顎犬歯


男性(左)男性(右)女性(左)女性(右)
1987年62.0年61.7年58.5年59.1年
1993年64.7年64.4年61.8年61.2年
1999年66.7年66.7年65.8年66.2年
12年の変化+4.7年+5.0年+7.1年+7.1年

下顎第二大臼歯


男性(左)男性(右)女性(左)女性(右)
1987年43.3年43.7年40.9年41.8年
1993年45.5年46.7年44.7年44.4年
1999年50.0年51.0年49.4年49.9年
12年の変化+6.7年+7.3年+8.5年+8.1年

このデータから歯の寿命は12年間で4.7年~8.5年程度延びていることがわかります。最終調査から25年以上経過している現代では、さらに寿命が延びていると考えられるでしょう。

参考記事:https://www.mhlw.go.jp/topics/0105/tp0524-1-10.html

人の寿命との関係

平均的に見ると、歯は人に比べて短命です。日本人の平均寿命も歯と同様に年々延びてきています。厚生労働省の簡易生命表のデータでは、各年における平均寿命は以下のようになっています。


男性女性
1987年75.61年81.39年
1993年76.25年82.51年
1999年77.10年83.99年
12年での変化+1.49年+2.60年
2022年81.05年87.09年

先ほどの歯の寿命のデータに比べ、人の寿命の延びはゆっくりとしていることがわかります。先ほどのデータから歯の寿命の方が20年~30年ほど短いことが見て取れますが、歯を大切にしていけば、自分の歯を失わずに生活を送れる可能性もあります。歯の寿命を延ばすための努力をできる限り早く始めることが大切です。

参考記事:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life09/sankou02.html
参考記事:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life22/index.html

歯の寿命を延ばすためのポイント

歯の寿命を延ばすためには、口腔内の健康を維持することが大切です。ここでは具体的に歯を長生きさせるためのポイントを紹介します。

早期発見・早期治療をする

歯の病気が原因で歯を失うことがよくあります。厚生労働省の平成11年歯科疾患実態調査報告では、歯周病(56%)と虫歯(30%)が歯を失う主な原因になっていました。早期発見・早期治療をして歯、歯茎、顎の健康を保ちましょう。

歯科検診・クリーニングを定期的に受ける

歯の治療を繰り返すと他の歯にも負担がかかるので、歯の寿命が縮むリスクがあります。歯科検診やクリーニングによるプロフェッショナルケアで予防を重視しましょう。定期的に歯医者を受診してケアを受けると口腔の健全な状態を保てます。

正しいセルフケアをする

歯の健康を保ち、寿命を延ばすためにはセルフケアが欠かせません。正しいブラッシングの方法を身に付けて、習慣的に歯磨きをしましょう。デンタルフロスや歯間ブラシも使用して、歯に汚れを残さない状態にすることが大切です。

また、歯のケアのために生活習慣を見直すことも考えましょう。そのためには食生活に気を付けて、よく噛んで食べる習慣を作ることがおすすめです。よく噛んで食べることで顎の筋肉や骨を育て維持できます。しっかりとした顎を作って健康な歯を保ちましょう。

まとめ

1999年当時、歯の寿命は50年から66年とされていましたが、現在は寿命が延びつつあります。これは、歯の健康への意識が高まり、セルフケアや専門家でのケアを行う人が増えていると考えられます。長寿国である日本では、平均寿命に比べて歯の寿命の方が短いという課題があります。健康な歯の状態を維持することは、体全体の健康にとっても重要です。日常的に徹底したケアを心掛け、自分の歯で噛める状態を保ち、なるべく歯を失わないように心がけましょう。

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