コラム

歯にフッ素は必要?虫歯予防・健康への影響について解説!

フッ素が歯の健康や虫歯予防に効果的だということで注目を集めていますが、同時にその危険性についての噂もあり、不安を感じている方も多いかもしれません。フッ化物を含む歯磨き粉が広く普及しており、日常的に使用しているものの、その効果に疑問を持っている方もいるでしょう。この記事では、フッ素が歯にとって本当に必要かどうかについて、分かりやすく説明します。

フッ素を歯に適用する代表的な方法

歯科でよく話題になるフッ素は、化学におけるフッ素ではありません。正確に言えばフッ化物といい、フッ素を含んでいるさまざまな物質を指します。典型的なのはモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)で、他にもフッ化ナトリウムなどが用いられています。フッ素を歯に適用する方法は、以下のようにいくつか開発されてきました。

フッ化物配合歯磨剤

日本で最もポピュラーなのは、フッ素化物配合歯磨剤を使用する方法です。フッ素入りの歯磨き粉というとわかりやすいでしょう。厚生労働省のe-ヘルスネットでも虫歯予防の効果について情報発信をしていて、世界的な調査結果から虫歯予防効果が24%程度あると言われています。歯にフッ素を作用させる時間を長くする必要があるため、口内のすすぎ回数を1回だけにするといった工夫をすると効果が上がります。

フッ化物洗口法

フッ化物洗口法は、フッ素を含む水でぶくぶくとうがいをする方法です。水を通して歯の表面の隅々までフッ素を作用させられます。この方法ではフッ化ナトリウムが最もよく用いられている成分です。低濃度のフッ素溶液で毎日おこなう方法と、高濃度のフッ素溶液で週1回おこなう方法があります。

水道水フロリデーション

国家的な取り組みとして、水道水フロリデーションによるフッ素の適用をしている場合もあります。虫歯予防のために有効な水晶フッ化物濃度は、WHOによると0.7~1.0ppmです。この方法は、飲用水などからフッ素を歯に与えられるので効率的です。ただ、水道水からフッ素を摂取することで中毒症状が出るリスクもあることから、水道水へのフッ素の添加をしていない国も多くなっています。

フッ素による虫歯予防

フッ素が歯の健康に関して注目されているのは、虫歯予防の効果が示されてきたからです。フッ素によってどのようにして虫歯の予防ができるのでしょうか。

虫歯の原因菌の活動を防ぐ

フッ素は、虫歯菌のストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗菌作用があります。虫歯になってしまうのは、原因菌が酸を発生させて歯を溶かしてしまうからです。フッ素には虫歯の原因であるミュータンス菌の活動を抑える作用があります。

エナメル質の再石灰化を促進する

フッ素にはカルシウムとリン酸の吸収を促進し、歯のエナメル質の修復を促す作用があります。歯の構成要素として重要なリン酸カルシウムを補い、虫歯菌によって溶かされた歯を修復して守ることが可能です。

フッ素によって酸に強い歯を作る

再石灰化の過程でフッ素が歯の中に取り込まれます。フッ素が取り込まれることで酸に対する耐性が高まり、虫歯菌によって溶かされにくくなります。歯の強化につながるのがフッ素を使用する魅力です。

フッ素の安全性は?使い方のポイント

フッ素は危険という噂を聞いて不安になっていた人が押さえておきたいのが使い方です。フッ素の安全性と使い方について確認しておきましょう。

フッ素の安全性に懸念はある

フッ素は安全と一言で断言することはできません。フッ素は過剰摂取によって中毒症状が起こることがあります。1994年に取りまとめられたWHOのFluorides and oral healthにおけるテクニカルレポートでは6歳未満の就学前児童について、フッ化物洗口法は推奨しないとしています。フッ素は微量元素で大量摂取をするとリスクがあるのは確かです。むやみやたらに使うと危険を伴うことは念頭に置いておきましょう。

フッ素入り歯磨き粉がおすすめ

セルフケアで歯の健康と虫歯予防のためにフッ素を活用するなら、フッ素入り歯磨き粉を使うのがおすすめです。WHOでも1994のレポートで1,000ppm~1,500ppmのフッ素を含む歯磨き粉について、虫歯予防の効果があることに言及して推奨しています。厚生労働省のe-ヘルスネットでも3歳以下の低年齢児を除き、フッ素を使用している歯磨き粉の利用に対して前向きな情報を発信しています。フッ素の濃度に注意は必要ですが、日本では1,500ppmまでの歯磨き粉しか作れないことが、薬用歯みがき類製造販売承認基準で定められています。日本で作られている歯磨き粉であれば安心してセルフケアに使えます。

まとめ

フッ素は虫歯予防の効果があると世界的に示されています。過剰摂取による危険性があるのは確かですが、歯磨き粉であればセルフケアでも安心して使用できます。また歯科医でもフッ素を塗布してくれますので、自宅でフッ素を使うことに抵抗があるときは、かかりつけの歯科で塗布してもらい、歯の健康を守っていきましょう。

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