歯医者に行って「歯の神経を抜くことになりますね」と言われて怖くなった経験はありませんか。歯の神経と抜くとどうなるのかがわからないものの、歯医者の指示に従って治療を続けることにした人もいるでしょう。この記事では歯の神経を抜くと何が起こるのか、なぜ歯医者が神経を抜くと判断したのかを解説します。
目次
歯の神経を抜くと起こるリスク
歯の神経、すなわち歯髄を抜く処置(抜髄)は、重度の虫歯や歯髄炎などの状態で必要とされることがあります。抜髄を行うと、歯の生理的な機能が失われることになり、これにはいくつかのリスクが伴います。ここでは、抜髄のプロセスとそれが歯に及ぼす潜在的な影響について詳しく見ていきます。
歯髄の機能が失われる
抜髄をすると歯髄の機能がなくなります。歯髄は神経だけでなく血管も通っており、栄養の補給や老廃物の除去を担っている器官です。歯の神経を抜くと歯髄の以下のような機能が失われることになります。
・歯の強さを維持する
・歯の色合いを保つ
・歯の知覚を維持する
歯髄がなくなると歯の栄養が不足して強度が低下します。不要物の除去もできなくなるため、色合いも悪くなりがちです。
抜髄によって歯の痛みがわからなくなるのはメリットですが、痛みによって歯のトラブルに気付けなくなるデメリットがあります。血液循環もできなくなり、歯の状態も悪くなるリスクがあります。
歯の寿命が短くなる
歯の神経を抜くと歯の寿命は短くなります。血管を通して栄養供給や老廃物除去ができなくなるのが原因です。抜髄をした歯の寿命は5年~30年くらいです。元の歯が残っていると比較的トラブルが起きにくいですが歯の神経を抜くと、平均的に10年くらいは寿命が短くなるといわれています。
歯のトラブルが起こりやすくなる
歯の神経を抜くと歯のトラブルが起こりやすくなるので注意が必要です。抜髄をすることで神経が通らなくなって痛覚を失います。虫歯になったとしても痛みによる自覚症状がありません。また、栄養が供給されなくなるため、歯がもろくなり、虫歯になるリスクも高くなります。丁寧なメンテナンスを続けないと歯の状態を保つことができません。
歯の神経を抜く理由
このように歯の神経を抜くデメリットはたくさんあります。神経を抜かずに治療できた方が良いのは確かですが、歯医者では歯の神経を抜くのが良いと診断する場合があります。なぜ歯の寿命が短くなるにもかかわらず、抜髄をしているのでしょうか。
虫歯が歯髄に到達したから
歯の神経を抜くと虫歯の痛みをなくせます。虫歯が歯髄に到達してしまうと、歯髄炎になって激しい痛みに悩まされます。虫歯が歯の表面で留まっていれば歯の神経を抜く必要はありません。しかし、虫歯が歯髄にまで進行したときには神経が侵されてしまっているため、神経を抜いて根管治療をすることが必要です。
歯が割れてしまったから
歯が割れたり、ヒビが入ったりしたときにも傷が神経に達しているときには歯の神経を抜く場合があります。交通事故などの衝撃によって歯が折れたときには、傷が歯髄に達してしまうことがあります。神経にまで傷が入ったときには痛みが続くことが多いので、神経を抜いて痛みの対策をすることが必要になりがちです。症状を詳しく確認して、歯の神経を抜くべきかどうかを判断します。
知覚過敏で痛みに耐えられないから
知覚過敏による痛みを感じる患者には通常、フッ化物塗布や特別なデンタル製品を使用した非侵襲的な治療が行われます。しかし、歯ぎしりや食いしばりによるエナメル質の損傷が進行し、象牙質が露出すると、神経に大きな刺激が伝わります。この場合、日常生活に支障をきたす重度の知覚過敏があると、根管治療や歯の神経抜歯を検討することがあります。
被せ物の治療で痛む可能性があるから
虫歯治療でよく行われるのは、被せ物を作って歯に取り付けることです。被せ物を適合させるためには、歯を削って安定した土台を作る必要があります。歯を削る際、治療が深く進むと神経に近づくことがあります。こういったケースでは被せ物を装着した後、痛みが続くことがあるため神経を抜く処置が行われることがあります。
まとめ
歯の神経を抜くと歯がもろくなり、トラブルが起こりやすい状態になります。それでも歯医者が歯の神経を抜くのは痛みをなくすための最終手段だからです。歯の神経を残した方が寿命も長くなり、健康な状態を保てます。歯の神経を抜くのはやむを得ないという判断なので、歯の神経を抜かずに済ませられるのが理想的です。予防に重点を置くことで、健康な歯を維持しましょう。