フラップ手術は歯周病治療の際に用いられる外科手術の一つです。歯周基本治療を実施しても治療が十分にできなかったときに、フラップ手術を実施する場合があります。この記事ではフラップ手術の目的や流れを紹介します。手術でよく悩みになる痛みや腫れの問題についても解説するので参考にしてください。
目次
フラップ手術とは
フラップ手術とは歯周外科手術の中で最も直接的な方法です。歯周病のときにはスケーリングやルートプレーニングによって歯石を除去します。しかし、非侵襲的な方法では歯周ポケットの奥深くに入っている歯石の除去や、病変部の治療をすることができない場合があります。フラップ治療では切開を伴う外科手術によって歯周病の治療をする方法です。
フラップ手術は保険適用
フラップ手術は保険適用で受けられる手術です。自己負担金は3割負担の場合で歯1本あたり2,500円くらいになっています。ただし、フラップ手術を保険適用で受けるためには、歯周基本治療を済ませていることが必要です。検査やスケーリングなどの治療をして精密検査を受けた上で、歯科医師の診断によってフラップ手術が必要と判断されたときに保険適用になります。
フラップ手術の流れ
フラップ手術は1時間ほどで終わる外科手術です。どのような流れで進められていくのかを簡単に見ていきましょう。
麻酔処置
フラップ手術では歯肉をメスで切開するので、まずは痛みを感じないように麻酔をします。治療をする必要がある歯周ポケットの周辺部に麻酔をし、痛覚がなくなった時点で手術を開始します。
歯肉の切開
フラップ手術では歯石や病変がある部分にメスを入れて切開します。スケーリングでは歯周ポケットの浅い部分を目で見えない状態で治療します。一方フラップ手術では、切り開いてはっきりと見える状態で徹底した治療ができるのが特徴です。
歯石や病変の除去
歯根を露出させて歯石や病変部を取り除きます。歯根の部分の表面をクリーニングして目に見えないサイズの歯石まで徹底して除去し、歯周病の再発が起こらないように治療します。
縫合
治療が完了したら、歯肉を元の状態に戻して糸で縫合します。切開が必要だった範囲の広さに応じて縫う数と位置を適切に選び、傷口が速やかに修復されて違和感がなくなるようにします。クリニックによっては翌日に一度来院を促して、傷口の消毒や縫合不全の有無を確認することもあります。
抜糸
フラップ手術を終えた時点では、まだ縫合に使用した糸が残っています。1週間後を目安にして再度、クリニックに行って抜糸の施術を受けます。この時点でフラップ手術をした部位の治癒状況を確認して、問題がないようであれば抜糸をして治療が完了というのが流れです。
フラップ手術に痛みはある?
フラップ手術を受けるときに痛みが気になる人もいるでしょう。フラップ手術の痛みや腫れについて要点をまとめたので参考にしてください。
手術中は麻酔で痛くない
フラップ手術は、麻酔をしてから施術を始めるので痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が十分に効いたことを確認してから歯肉を切開する手術を始めます。
術後は鎮痛剤を必要に応じて使う
フラップ手術の後には痛みが発生することがあります。個人差があるので痛みがない場合もありますが、麻酔が切れた時点で痛みが出てきたり、2~3日してから腫れてきたりすることがあります。このようなときの対策として鎮痛剤を頓服で使用します。痛みが出てきたときにもすぐに抑えられるので安心です。
知覚過敏が発生することがある
フラップ手術をすると、歯茎の状態に変化が生じます。一度、歯肉を切り開いて再生させているため、感覚神経に大きな刺激があるのは明らかでしょう。それが原因で歯や歯茎の知覚過敏が起こることがあります。何もしていないのに痛かったり、冷たいものや熱いもの、甘いものなどに触れると痛みを感じたりすることがあります。一週間程度で神経系が整ってきて緩和されることが多いので様子を見ましょう。
腫れて不安なときは医師に相談
術後1週間くらいすると痛みも腫れもなくなるのが一般的です。腫れが酷くて鎮痛剤を飲んでも痛みが収まらないときは医師に相談しましょう。抜糸の時点でまだ腫れや痛みがあるときには別の原因がある可能性があります。医師に伝えて適切な検査を受けて原因を調べましょう。
まとめ
フラップ手術は、スケーリングなどによる基本治療では歯周病の治療が難しいときに適用される歯周外科手術です。歯周ポケットの深いところに歯石や病変があるときに、麻酔下で切開して治療をします。切開して治療をした後、縫合をして抜糸するという流れで治療を進めます。フラップ手術自体は麻酔が効いているので痛みはありません。ただ、治療後に痛みや腫れが出る場合があるので、術後ケアが必要な手術です。