歯周病

歯周組織再生療法とは?特徴・種類と保険適用ができるかを解説!

歯周組織再生治療とはどのような歯周病治療なのかが気になっていませんか。保険適用で治療を受けられるのかを知りたい人もいるでしょう。歯周組織再生療法は近年注目を浴びている再生療法です。この記事では歯周組織再生療法の特徴や種類と、保険適用の可否について説明します。

歯周組織再生療法とは

歯周組織再生治療とは、歯周病によって失われた歯肉や歯槽骨などの歯周組織を再生する治療方法です。歯周基本治療を適用しても歯周病の病変が残り、改善をしなければ口腔衛生のトラブルが起こり得る際に適用されています。再生療法の一種で、歯周組織を蘇らせることが可能な治療です。重度の歯周病の治療や歯周病の再発リスクを抑えるのに有効な用法として用いられています。

歯周組織再生療法の流れ

歯周組織再生療法は、外科手術を伴う治療方法です。治療を実施する際には歯周病検査や基本治療を終えた上で、CTによる検査などを実施して適応可能かどうかを判断します。そして、手術当日は麻酔をして歯肉を切開し、プラークや歯石、病変の著しい組織などを除去します。その後、歯周組織の欠損の様子に合わせて歯周組織再生材料を使用して再生を促す下地を作り、縫合して手術を終えるというのが流れです。

歯周組織再生療法で用いられる歯周組織再生材料の代表例

歯周組織再生療法では、歯周組織再生材料を使用して再生治療をおこないます。代表的な歯周組織再生材料として用いられているのは以下の4種類です。

エムドゲイン

エムドゲインは最も古くから用いられている材料で、エナメルマトリックスタンパク質を主成分としています。1995年頃からスウェーデンで使用が始まり、日本でも1998年から厚生労働省による認可を受けて歯周組織再生療法に使用されている材料です。

リグロス

リグロスは細胞の増殖や分化を促す成長因子の一種、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を主成分としている材料です。歯周組織や血管の再生を促すことで丈夫な組織を作り上げることができます。

バイオオス・バイオガイド

バイオオスは、ガイストリッヒが開発した骨再生の促進作用がある骨充填剤です。歯槽骨が細い、欠損があるといったときに新しい骨の足場になることから、歯周組織再生療法で応用されています。バイオオスは、コラーゲン膜のバイオガイドとの併用によって骨や血管の再生を促すことができます。

サイトランスグラニュール

サイトランスグラニュールはGCが開発した炭酸アパタイトを主成分とする骨充填剤です。インプラントでの使用が進められている材料で、安定性が高くて骨再生の土台になります。サイトランスグラニュールを使用する際には、同社のサイトランスエラシールドと併用することで軟組織の侵入を防ぎ、骨再生や血管新生を補助します。

歯周組織再生療法は保険適用できる場合がある

歯周組織再生療法は、高額の治療費が必要になる場合があります。歯周基本治療は保険適用が可能ですが、歯周組織再生療法の多くは自由診療になるのでトータルでは10万円くらいの費用がかかるのが一般的でした。

しかし、リグロスについては2016年に保険適用になり、治療費用を1万円程度に抑えることができています。初期の治療からアフターケアまで含めると5万円前後で受けられるようになっています。症状によって費用には違いがありますが、条件さえ満たせば保険適用で歯周組織再生療法を受けられるので前向きに考えましょう。

リグロスの保険適用になる適応症

保険を適用し歯周組織再生療法でリグロスを使用する場合には、添付文書に記載されている適応症に該当していなければなりません。具体的にはポケットが4mm以上あり、骨欠損が3mm以上の垂直型骨欠損という条件を満たしていることが必要です。基本的な歯周検査やCTによる検査がおこなわれるのは、これらを確認することが目的の一つです。

リグロスの歯周組織再生療法が保険適用外になるケース

歯周組織再生療法にリグロスを使えない、あるいは保険適用外になるケースがあります。適応症の条件を満たさないときには保険適用ができませんが、他にも以下のようなケースがあります。

リグロスはインプラント治療での有効性や安全性は確立されていません。歯周組織再生療法と併せてインプラント治療もする場合には、適用できない可能性があります。

リグロスは口腔内のがんの既往歴があると禁忌です。リグロスでアレルギー反応を過去に起こしたことがあるときにも適用外になります。

また、保険治療は他の治療と組み合わせることはできないのが原則です。例えばリグロスとエムドゲインを組み合わせるなどの混合治療をする場合、保険適用で歯周組織再生療法を受けることはできません。

まとめ

歯周組織再生療法は歯周組織を再生させる治療法で、歯周病の治療の選択肢として用いられるようになりました。重度の歯周病でも治療できる可能性がある方法です。歯周病で悩んでいるときには歯周組織再生療法を検討してみましょう。

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